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Frank Morrison Taps Into His Inner
Kid to Show Kids What’s Possible

内なる子どもに耳傾けることによって、子どもたちに可能性を示すフランク・モリソン 内なる子どもに耳傾けることによって、
子どもたちに可能性を示すフランク・モリソン
数々の賞を受賞したイラストレーターでありアーティストのフランク・モリソンが、コール ハーンのライティングディレクターであるジェイソン・エフマンとのビデオチャットで、自分自身のスタイルを見つけること、そして他者のそれを支援することについて語ります。 数々の賞を受賞したイラストレーターでありアーティストのフランク・モリソンが、コール ハーンのライティングディレクターであるジェイソン・エフマンとのビデオチャットで、自分自身のスタイルを見つけること、そして他者のそれを支援することについて語ります。

フランク・モリソンの緻密で心に寄り添うような作品は、49歳の彼が完全に独学でアーティストになったことを知れば、いっそう驚くべきものとなります。最初はグラフィティに関心を持ったところから始まり、新たな発見を重ねながら、このアトランタ在住の画家は特徴的なマニエリスムの基盤を作り上げました。そして、美術界に独自の地位を確立したのです。

20を超える受賞歴のある児童書のイラスト、個展、アート・バーゼルなどのフェスティバルへの出展、スウィズ・ビーツやジョーダン・ピール監督の映画「ゲット・アウト」のために作品を制作するまでになった今、モリソンの個人的な喜びは、自分の成功を誰かの成功につなげることになりました。「大きくなったら何にでもなりたいものになれるよ」と言われたことがない子どもたちにとって、彼の絵や本は可能性を導く灯台なのです。

モリソンは、アフリカ系アメリカ人の現在の暮らしを伝える記録集を作り上げるために文字通り昼も夜も働く一方で、将来の世代のために、自分が体験したことがなかった思いやりのある世界を作るためにも努力を重ねています。

ジェイソン・エフマン: まず、この企画に参加してくれて、ありがとう、フランク。僕たちは君の作品が大好きなんだ。ひとつひとつの作品に驚きがぎっしり詰まっているね。幅広いメッセージ、個人的な瞬間、そこに織り込まれた歴史、反抗、色彩・・・。そして常に、人間性と共感性がある。

これだけのことをどこから話したらいいかわからないけれど、まずは、現在のようなアーティストになったこれまでの道のりについて話してくれるかな。

フランク・モリソン: 母が言うには、僕はいつも壁に絵を描いていたそうだ。とにかくいつも絵を描いていた。ずっとアーティストだったし、何かしらアーティスティックなことをしていたから、自然とこうなったんだよ。

僕が育った80年代は、運動神経、能力が注目されていた。僕はブレークダンスもできたし、グラフィティもできたよ。だけど、段ボールの上でスピンしようとして、ここに絵が描けるじゃないかって気付いたんだ。だから段ボールに絵を描くようになった。そのうちに外に出て、「描いてもいい壁」を見つけて描くようになったんだ。90年代初めには、友だちと小さな[ダンス]チームを作って、バトルしたり、踊ったり、大会に出たりしていたよ。ある時、[R&Bアーティストの]シビルの前で踊るように言われた。そしたらシビルに気に入られて、ツアーに一緒に行ったんだ。まだハイスクールに通っていた頃で、11年生と12年生のときにシビルのバックで踊っていたんだよ。アメリカ中を回って、1年後にはパリまで行った。

パリに行くのをだめだと言う先生はいなかった。みんな、「おう、行ってこい、行ってこい」みたいな感じだったね。一番優秀な生徒じゃなかったんだけど。美術の先生は、初めて教わったアフリカ系アメリカ人の先生で、彼女はグラフィティを嫌っていた。でも、僕はグラフィティアーティストだった。そこら中にタギングしていたからね。そしたら先生がこう言うんだ。「じゃあ、君に宿題を出す」って。僕に宿題出すなんて、この人だけだよ。で、こう言うんだ。「パリに行ったら、ルーブルに行くこと」って。「冗談でしょ、何言ってるんですか?」って言ったよ。ムーア先生っていうんだ。ムーア先生には感謝してるよ。

シビルとクルーにその話をしたら、みんな承諾してくれた。シビルは1日目に自由時間を入れて、僕がルーブルに行けるようにしてくれたんだ。そして、誓って言うが、あれで物の見方がすっかり変わったんだ。とにかく度肝を抜かれた。最初はこう思っていたよ。そこに行って、先生が見なさいって言ってた絵を見つけて、出てくればいいんだろって。

だから入口まで行って、友だちに「すぐ戻るから」って言ったら、やつは「一緒に行ったほうが良さそうだな」って言った。結局、美術館の中に7時間だか10時間だかいたんだ。ビルみたいにでかい絵を次から次へと見て回った。とにかくすごかったよ。

そして、感化されて戻ってきたよ。それからもシビルのバックでダンスを続けて、卒業後はラトガーズ大学にちょっと通った。それから、エッセンス・アートっていう会社と契約したんだ。そんなふうに絵画美術をやるようになったんだ。

エフマン: ほとんど独学なんだよね?

モリソン: そう。

エフマン: 独学って言うけれど、自分がやっていることのやり方を、どうやって自分で自分に教えられるんだろう?

モリソン: だけど、本当にそうなんだよ。いいかい。まず論理的に正しいやり方を見つけようとするよね。見つけたら、それは避けるんだ。そして、その中に自分自身を見つけようとするんだ。その人間がどういう姿をしているか、見つけるんだ。それから理解する。「自分がマスターしたのは、どういうことだ? これをどう生かしたらいい?」って。僕は、君を見たとおり正確に描くことだってできる。完璧なリアリズムもできる。でも、スーパーリアリズムはやらない。独自のスタイルを持つために十分な文化があるし、十分な腕前があるからだ。

大事なのはスタイルを見つけることだけじゃなくて、人間の体を長年観察して、繰り返し描くことで、人体構造に関する十分な知識を身に着けるっていうことなんだ。まさに「訓練によって完璧になれる」 だよ、ひたすら描き続けるのみだ。

スケッチブックに何千、何万と絵を描いているんだ。ずっと毎日、絵を描いているよ。そうやって自分で自分に教えてきたんだ。それと、油絵をやっているからでもある。僕は昔風の人間なんだ。デジタルじゃない。伝統的なやり方で描いているんだよ。

エフマン: 論理を突破して自分自身のやり方を見つけるという考え方が素晴らしいね。自分の独自のやり方を見つけた瞬間はいつだったの? そういう瞬間があった?

モリソン: うん、あったんだ。ウソみたいな話だけど、ギャラリーがあってね。17歳のときにハイスクールを卒業して、仕事を見つけなければいけないって気付いたんだ。産業界関係はよくわからなかったから、アートの仕事しか考えられなかった。それで、あっちこっち旅をしながら、アーティストとして雑多な仕事をしているうちに、「ジャスト・アート」っていうギャラリーに行き当たったんだ。

そこの人たちに、完璧にリアルな素晴らしい水彩画を見せたら、こう言われた。「やあ、フランク、いいね。でも、ほかの人の作品と見分けがつかないな。君のアイデンティティは何? 何を伝えようとしているの?」ってね。

そんなふうに考えたことはなかった。それで、最高の組み合わせを見つけようとしたんだよ。ピーナツバターとチョコレートのようにね。一番良いやり方を見つけようとしたんだ。自分はグラフィティアーティストだとわかっていたし、テレビで「グッドタイムズ」を見て育ったし、母親はアニー・リーの絵を家に飾っていた。そういった文字やキャラクターや表現様式をすべて組み合わせて、どうしたら自分にしっくりくる構成が作れるかを見つけようとしたんだ。リアルとスタイルを合わせたような段階を経て、ボディを様式化する形に落ち着いた。

それから、グラフィティの文字を配置するような感じで人物を配置すれば、リズム感のある印象になることを発見した。それで、あらゆるもの、あらゆるアングルを様式化したんだ。そうしてできたクレイジーな作品が、「バックステージ」っていう絵なんだ。演奏者のグループを描いた絵で、全員いつでも舞台に戻る準備ができている。こんなふうに自分のスタイルを編み出した。基本的に、グラフィティとマニエリスムだね。

今自分がやっていることで最も好きな点は、アートで何ができるかを示せるっていうことだ。そうすれば、子どもたちが学校を出たとき、自分がどういう仕事に就けるかわかるだろう。

エフマン: 素晴らしい。君の作品に込められたそういう情感が、子どもの本の制作に向かわせるのかな? 何に共鳴するの?

モリソン: 子どもの本でやりたいと思ったふたつのことのうちひとつは、この子たちみたいに、何か変わったことをしている子、そういう姿を描きたいと思ったんだ。それに、自分のスタイルを見せられる。それも、子どもたちの今の視点に立って見せることができる。僕はニュージャージー州で育って、ブルックリンに引っ越した。だから、都会に出て暮らす人々の姿を見せたい。都市に住んでいなければピンとこないよね。バスケを見ながら育ったんじゃないと。

僕は自分の声を子どもたちに届けたい。たとえば映画を見て、誰かの髪型を見て、こんなふうに思うことがある。あいつがこの近所の床屋に行っていれば、絶対あんな髪型にならないのに。何だ、あれは? フェードが入っていない。心がこもっていない。何にもない。でも、ナズ(アメリカ人ラッパー)を見たら、同じ床屋に行っているってわかる。そういう本物性を、子どもの本にもたらしたいんだ。もうひとつやりたいことは、本に多様性をもたらすことだ。なぜかっていうと、行動しないのに要求だけするのはフェアじゃないと思うからなんだ。それで、本ではすべての人種の子を描いている。だから、誰でもスターになれるんだ。感情移入できるからね。

これが、絵本の仕事の一番楽しいところだよ。完成にこぎつけるのは難しい。大変な仕事だよ。浮き沈みの繰り返しだ。でも、間違いなくやる価値はある。妻が文を書くから、一緒に本を作っているんだ。“I Got the Rhythm”っていうシリーズを出しているんだよ。妻と一緒にツアーに行って、子どもたちと会うのはとても楽しいよ。今度、カラマズーの真ん中に行くんだ。カラマズーが何かの名前だなんて知らなかったよ。ドクター・スースの話をしているんだと思ったぐらいだ。「カラマズー? それって地名なの?」ってね。

現地に行って、本を喜んでくれる人たちに会うのは、本当に素晴らしいことだよ。子どもたちにやる気を与えられる、本物でいられるっていうのは、やりがいがある。僕らが穿いているジーンズがある、僕らが履いているスニーカーがある、本物のグラフィティが見られるっていうことを見せるんだ。フォトショップじゃなくてね。

エフマン: 前に、子どもたちが利用できるものでアートの指導をしているっていう話をしていたよね。その活動には力を入れている?

モリソン:[パンデミックの]前は、スタジオを子どもたちに開放していたんだよ。親たちとはあまり話をしない。サインが欲しいだけだったり、タダで何かもらいたいだけだったりするからね。でも、アートの生徒でやる気がない子っていつも1人はいるんだけど、本ばかり読んでいて、何も言おうとしない子がね、そういう子には、「やあ、その本見せてくれるかな。どんなのか見せてよ」って言うんだ。

うちには、本のライブラリーもある。笑っちゃうけど今日も本が入ってくるんだ。とにかく、子どもたちに本を手に取ってもらいたいんだよ。ルールはただひとつ。1冊返したら、もう1冊借りられる。その子の名前を知らなくてもいいんだ。アートが大好きな子だったら、本を大切にして、ちゃんと返してくれるって信じている。信じないかもしれないけど、みんな、本をちゃんと全部持ってくる。部屋に入ってきて、自分が作ったものを見せてくれるんだ。そういうことが、大学やアートスクールを受験するための作品資料を制作するうえで役に立つんだ。本当に楽しいんだ。そのために絶対時間を作るようにしている。[子供の頃は]自分にどういう選択肢があるか全部知らなかったから、今の子たちにはどういう選択肢があるか知ってほしいんだ。

エフマン: そして、選択肢は常に変わるものでもあるよね? 世界はどんどん広がっていく。でも、君の作品は瞬間を捉えたものという感じがすごくする。と同時に、何年でも見ていられる感じがする。普遍性があるね。子ども時代には、誰でも強い思い入れがあるよね。こういう作品を作るために、どうやって子どもの気持ちを持ち続けているの?

モリソン: どうやって瞬間に生き続けるかってこと? 子どもが5人いるからだと思う。一番小さい子は9歳だよ。娘はちょうど僕にああしろこうしろって言いたい年頃なんだね。だから、子どもに返ったような気分になるよ。とにかく、子どものそばにいることが大事だと思う。そうすると、メッセージを伝える一番良い方法は、たいてい一番気楽な方法だって気付くんだよ。子どもを通すっていうことだ。

そして、メッセージのポイント、たとえば僕の根底にあるピースは米軍史上初のアフリカ系アメリカ人の航空部隊タスキーギ・エアメンへの敬意なんだけど、それをわかっていない人に伝えるにはどうしたらいいか。そうそう、素晴らしい言葉があるんだ。「プラスチックボトルからアイディアまで、あらゆるものをリサイクルしろ」っていうんだ。「どうしたらそうできるだろう?」って思った。完璧な考え方だと思う。こういうことを、もう一度話し合ったらいいよね。ちょっと前に[2012年の映画]「レッドテイルズ」を観たんだ。それで感じるものがあったんだろうね。

もうひとつ描きたいものがある。恵まれない子どもたちを大勢知っているんだ。僕の育った家も、すべてがあるわけじゃなかった。でも、愛があった。80年代はそれで充分だったんだ。ベントレーはなくても良かった。愛はスニーカーじゃない。愛は買えない。愛に勝るものはない。子どもたちには、欲しいものがあるとき、そのことをわかってほしいんだ。

子どもたちは欲しいものがあったら、自分でいろいろ作り出すよね。今はもう、そうはいかない。昔は、ピッツェリアでパックマンとかいろいろなビデオゲームをプレーしていた。金がなくなったら終わりだ。みんながアタリ(家庭用ゲーム機)を持っていたわけじゃない。だから、結局ほかのことをしなければいけなかった。今は、何でもお膳立てされているよね。

注文さえすれば、あとはテレビをつけて何時間でも座っていればいい。でも、それでは才能が干からびてしまう。でも、絵を描けば、冒険しているような感じになれる。それを作品の中で表現したいんだ。そうすれば、世の中にはほかにも追い求めるものがあるってわかるからだ。クリエイティブになれ。何かをするんだ。

エフマン: 大人として、アーティストとして、プロフェッショナルとしては、現在どういう探求のプロセスをとっているの?

モリソン: 人の言うことは聞かない。とんでもない奴だよね。「ダメだ」って言われたら、真っ先にそれをやるんだ。いまだにそんな感じだよ。「なんでダメなんだよ?」っていう感じだ。そういう好奇心は、絶対になくさない。今でもグラフィティをやっているよ。仲間と一緒にやっている。今でも実地でやっているんだ。本当にやっていないのに作品に取り入れるわけにはいかないからね。

許可が出ている壁にしか描かない。牢屋はごめんだからね。専用の壁があって、そこには描いてもいいんだ。でも、今でも冒険心は忘れていない。時々、運転中に「ちょっと面白そうだから降りてみよう」って言ったりする。「こうしたらどうなるかな」とか、「今週は新しいことをしよう」とか。僕はそんな感じなんだ。そこの角の先に何があるかわからないじゃないか。

ある日、ゲットーの道を運転していて思ったんだ。「今日は曲がらなければ良かったかもな。随分ひどいじゃないか」って。ところが次の瞬間、開けたところに出たんだ。きれいな家が並んでいて、ハリー・ポッターが通うみたいな学校があったんだ。思いもかけないところにね。

というわけで、娘を来年そこに通わせようと思っているんだ。素晴らしい学校だってわかったんだ。でも、あの時ゲットーを通り抜けていなかったらわからなかったよね。

時々、運転中に「ちょっと面白そうだから降りてみよう」って言ったりする。「こうしたらどうなるかな」とか、「今週は新しいことをしよう」とか。
僕はそんな感じなんだ。そこの角の先に何があるかわからないじゃないか。
時々、運転中に「ちょっと面白そうだから降りてみよう」って言ったりする。「こうしたらどうなるかな」とか、「今週は新しいことをしよう」とか。
僕はそんな感じなんだ。そこの角の先に何があるかわからないじゃないか。
-フランク・モリソン

エフマン: 君にとって典型的な1日はどんな感じ?

モリソン: 全然面白くないよ。起きて、コーヒーを持ってくる。すぐそこにあるよ。親友みたいなもんだ。画面に入りたがっているけど、あっちに置いておくよ。コーヒーを持ってきて、メールをチェックする。メールの返事は書かないで、それから絵を描く。10時から6時ぐらいまで描くよ。休憩して、家庭のことをする。宿題を見たり、草刈りをしたり、買い物に行ったり。それからまた11時ぐらいにスタジオに戻る。もう1杯コーヒーを持ってきて、朝の3時ぐらいまで仕事をする。週6日働いて、日曜日は休日だ。

エフマン: 君の日常には愛があふれているね。

モリソン: いや、違うんだ。日々追われているだけだよ。いつか自分のスタジオが欲しいね。そのために働いてるんだ。スタジオが欲しいよ。ここは自宅のスタジオだからね。外にもうひとつスタジオがあるんだ。でも、理想の生活は、スタジオに行って、キャンバスだけに集中して、ロスコみたいに3日間座ってただ考えていたいね。

エフマン: ところで、このキャンペーンではルールの話をしているんだけど、君は人生で多くのことを成し遂げているね。どんな信念に従って仕事をしてきたのかな?

モリソン: 自分がどんな人間かっていうことに忠実であり続けることだね。知っている多くのアーティストは、世間に出ると、売れそうなものを描くようになる。トレンドを追うんだ。パブロ・ピカソはキュビズムを切り開いた。ジョルジュ・ブラックもだ。キュビズムをやったアーティストは大勢いるが、それをもっと進めた人もいる。彼らは未来派を切り開いた。付け加えていくんだ。僕はマニエリスムで制作しているんだけど、このスタイルに貢献していると感じている。貶めてはいない。なんでマニエリスムかっていうと、僕はじっとしていられないからだし、じっとしている人を描けないからだ。そういう人間なんだよ。だから、このほうがやりやすいんだ。スタイルを模索しているっていう人がいたら、まず自分がどんな人間かを見つけろって助言するね。花にはまっているんなら、花を描けばいいじゃないか。描くんだ。これまで誰も描いたことがないような花を描けばいいんだ。子どもたちに夢中じゃないんなら、子どもを描けとは言わない。ある種の視点がなければいけないからね。まず子どもを好きにならなきゃいけない。でなきゃ子どもを持って、それから好きになるか。とにかく、自分がどんな人間かを見つけるんだ。

エフマン: 僕たちは、今まさに類を見ない、人生を大きく変えるような時期にいるよね。パンデミックが始まって、それから抗議運動が始まって、それは君の作品にどういう影響を与えている?

モリソン: パンデミックについては、そうだね、前はどこでもマスクを着けるなんてことはなかったよね。命の危険を冒してガスを吸うなんてことはなかったからね。まったく違う世界になったみたいだ。ちょっと遠くまで探検するとか、車から降りるとか、野山の道を歩くとか、そういうことがないよね。うちの家族は前より絆が強くなったよ。小さなシャボン玉の中にこもっているみたいだ。前はもっと、あっちこっち行きたいところに行って、自由な気分だった。今は、それが妨げられている。でも、今は家族が一緒にいるから、それは素晴らしいことだよね。だって、いつも家族と一緒だからね。オンライン授業がある時は別だけど。抗議運動については、僕たちは参加しているよ、いつからか覚えていないぐらい前からね。こういうことは毎年起こっている。何かしらの抗議運動に参加することはね。ロドニー・キングのことだって、ジョージ・フロイドのことだって、参加しないわけにはいかないからね。近所ではいつも何かしらニュースを聞くよ。

それが自分に起こるかもしれない。息子たちはミネソタ州にいたんだけど、6年前、彼らは警察に止められたんだ。息子のひとりは僕に似てて、よく笑うんだ。それで、神経が高ぶって笑ってただけなんだ。そしたら警官が、「お前をどこかに連れて行って殺してやる。誰もお前を見つけられないぞ」って言ったんだよ。ニュースにならなかったけど、息子が家に帰ったときに話してくれた。そして、戻っていった。それじゃあ、警察に止められたらどうしたらいい? どうしたらいいんだ?

僕らはずっとこういう人生を送っている。それが僕らの現実だっていうことを、今みんなが前よりわかってきている。だから、参加する人が増えているのは素晴らしいことだよ。変化が起こることを願っている。ちょうどビリー・ホリデーの「奇妙な果実」を聞いていたんだ。あのリンチに集まっているのは1人だけじゃない。2人でもない。群衆だ。1人の人間がリンチされているのを大勢の人が見ているんだ。彼らの心に何が起こっていたんだろう? 彼らの子どもたちの心に何が起こっていたんだろう? 彼らはどういう家庭に戻っていくんだ? そういう考え方はどこから来たんだ? これを社会から取り除くのは、ものすごく難しい。法律だけの問題じゃない。それは、「あいつを撃ってもいい、大したことじゃない」っていう、一部の人の考え方なんだ。

それをどう止める? 僕らが作っている作品を見て、みんなが別の観点で僕らを見てくれることを願っている。僕らは実際に人間なんだってことをわかってもらえたらね。それを願っているよ。

エフマン: そもそも人々と会話からしなければいけないっていうことが信じられないよ。他者の人間性を認めさせなければいけないような人々がいるなんて。

モリソン: 人の命を奪っているんだ。こういうことは、永続的なダメージになる。家族も、その子どもも傷つけるんだ。僕は黄金律を信じている。「自分がしてほしいことを人々にしなさい」っていうことだ。ああいうことは、自分の家族に起こってほしくない。ほかの誰かの家族に、なんでああいうことをできるのか理解できないよ。

エフマン: お子さんたちにとって、今より良い未来を思い描ける?

モリソン: 未来的な人種差別だろうね。そう思うよ。変わらないだろう。変わるとは思わない。ジム・クロウの時代からずっとこの闘いを続けているんだ。理由をつけて、僕らは集まることを禁止された。理由をつけて、僕らは牢屋に入れられ、刑務所に入れられた。彼らは、人種差別に基づいて社会の基盤を作り上げた。一部の者は成功し、ほかの者は落ちぶれる社会。持てる者と持てない者だ。貧困にはそれなりの理由があって、みんなが誰かをこんな風に扱うにはそれなりの理由があると言われる。

そういうことをする人々にインタビューして、理由を聞けたらいいだろうね。「どうして人間を相手にそんなことができるんだ? どうしてそれでいいと思うんだ?」ってね。彼らが止めるとは思わないね。

エフマン: だからこそ、僕たちは一部の古いルール、古いやり方を打ち破る必要があると思っているんだ。実際のところ、このキャンペーンはかなりの部分、フラストレーションから生まれているんだ。企業という観点でこれをやるのもちょっと変だけど、でも、一緒に仕事をしている人々みんなから生まれたものでもあるんだ。

君はどういうルールを打ち破り、どういうルールを守りたい? 次の世代に受け継いでほしいと思うような原則や哲学はある?

モリソン: いつも子どもたちには、善良であれ、立派であれって言っているよ。親としては、毎日ルールばかり言ってしまうよ。「シリアル容器のふたを開けっぱなしにしちゃダメだ、しけちゃうから」とか、「シリアルボックスのマシュマロを全部食べるな! 俺のシリアルにマシュマロがないじゃないか!」とかね。

ルールはたくさんあるよ。成功を収めたいなら、自分にできる最善のことは自分の創作について真剣になるっていうことだと思う。研究しなければいけない。僕は自分の創作に対して真剣だ。コール ハーンみたいな企業と仕事をするときは、ちゃんとリサーチをする。絵本の仕事をするときは、イメージを作り上げるためにたくさんのリサーチをしなければならない。

メディアに出ていることを調べて、ストーリーを理解して、それに何を付け加えることができるかを考え、これからやろうとしていることを10年先まで好きでいられるかを考えなければいけないと思う。僕は昔、世界を旅して回るのが好きだったんだけど、結局うんざりしちゃったんだよ。というのも、「この壁に誰かが絵を描いたけど、自分がその上に描きたい」みたいになっちゃうんだ。アーティストだからね。

自分がやりたいことを見つけて、それを研究して、それを知って、それにしっかり取り組むんだ。ありきたりだけどね。

エフマン: 素晴らしいよ。

このインタビューは、長さを調節し、文意を明確にするために編集および要約されています。
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