ニューヨークは「眠らない街」として有名ですが、昼夜を問わずいつでも躍動的な姿を見せるニューヨークの本質とは、本当のところ何でしょう？陽光のもとでは常にキラキラと光り、暗くなれば目の覚めるようなディスプレイが煌々と輝く高層ビル群でしょうか？それとも、時間を問わず目的をもって広い大通りを急ぎ足で歩く人々でしょうか？あるいは、かつてシモーヌ・ド・ボーヴォワールが「ニューヨークの空気には、寝るのが惜しくなるような何かがある」と言ったとおり、街の空気にみなぎる実体のない何かでしょうか？

というわけで、この秋ニューヨークで眠らない幾日かを過ごすとしたら、何をするべきでしょう？いくつかアイディアをご紹介します。

確かにエンパイアステートビルの展望台は、史上最も象徴的な映画シーンのいくつかで背景になっています。しかし、いまや、ニューヨークきってのスカイラインの眺めを主張する手ごわい競争相手が新たに登場しています。ハドソンヤード再開発地区に昨年オープンした「エッジ（The Edge）」は、100階という高さを武器に西半球で最も高いオープンエアのスカイデッキとなっています。この上空高い場所から、ニューヨークの街を一望することができ、しかもエンパイアステートビルの素晴らしい写真を撮ることができます。

約185,800平方メートルの展示スペースを誇るメトロポリタン美術館は、何度でも行きたくなり、その度に見たことがない逸品に発見するという場所です。この秋は、エジプト館やイスラム美術ギャラリーのような昔からのお気に入りコーナーをチェックするだけでなく、衣装研究所による最新の展覧会「In America: A Lexicon of Fashion」を見るために時間をたっぷり取ってください。この待望の展覧会は、アメリカの服飾史に深い考察を加える内容となります。

コロナ禍の間、市内のアウトドアスペースにはかつてないほど多くのニューヨーカーが押し寄せました。そしてこの春、彼らは日光浴をする新たな場所を手に入れました。ハドソン川のピア55に宙に浮くように建設された斬新な公共公園「リトル・アイランド（Little Island）」です。総工費2億6,000万ドルの再開発プロジェクトは、有名な英国人建築家トーマス・ヘザーウィックの原案によるものです。建設には何年もかかっていましたが、それだけの価値がある結果となりました。屋外イベントの最新情報については、必ず予定表をチェックしましょう。あるいは、緑豊かな庭園の間をのんびりと散歩するだけでも良いですね。

ニューヨークで過ごす正しい週末のスタートは、定番中の定番、ベーグルにロックスとシュミア（スモークサーモンとクリームチーズ）を添えた朝ご飯です。ブロックに延々と続く行列を見て、TikTok利用者の最新トレンドになっている話題の新店舗に出くわしたかと思うかもしれませんが、実は「ラス＆ドーターズ（Russ & Daughters）」は、ロウアーイーストサイドで1世紀以上も前から愛されてきたお店です。忠実な地元のファンと好奇心旺盛な観光客が入り交じった行列に加わって、これだけ騒がれている理由を確かめましょう。

賑やかなノリータ（「ノース・オブ・リトル・イタリー」）地区にあるシェフ、セドリック・フォンゲリヒテン（Cédric Vongerichten）の店「ワヤン（Wayan）」は、インテリアがお洒落で雰囲気があるので、つい長居したくなってしまうでしょう。チークのパネル、琥珀色のガラス、木工品、熱帯植物、大理石のタイル、格子細工のペンダントシェードから漏れるほのかな光を想像してみてください。店の奥では、フォンゲリヒテンがインドネシアとフレンチの味わいを融合し、素晴らしい料理を創作しています。クリスピー・ソフトシェルクラブのランプ・サンバル添え、乾燥熟成鴨肉のグライソースと蓮根チップ添え、あるいはナシゴレンやカニのフライドライスのような人気の定番料理をお試しください。ただし、濃厚で甘美なロブスター・ヌードルだけは絶対お忘れなく。分け合うなんて無理ということも覚えておいてくださいね。

話題の新しいインド料理店「ソナ（Sona）」は、背後にかなりのスターの威光が働いています（ボリウッドとハリウッドの両方で活躍するプリヤンカー・チョープラーがパートナーです）。でも、この店の真のスターはシェフのハリ・ナヤクの遊び心あふれる、しかし洗練された料理の数々です。「ソナ」のアールデコ風ダイニングルームでいただく最初のひと口はゴルガッパです。それから、タコのギー・ロースト、クラブ・プリのキャビア添え、グリュイエールチーズのドーサと進みましょう。エレガントな金箔の縁飾りにも注目してください。何しろ、「ソナ」というのはヒンディで「ゴールド」を意味するのです。

ニューヨークの最高の眺めを楽しむには、水辺から街を見ることです。幸いなことにニューヨークには広範囲にわたる（そして手頃な料金の）フェリー網があるので、ビーチ、川沿いの公園、自由の女神像などへ向かう途中で、さまざまな魅力的な角度から街を観察することができます。短時間の小旅行をするなら、最初にガバナーズ・アイランドまで行って、そこから自転車専用路をサイクリングしてくると良いかもしれません。アートのインスタレーションに立ち寄り、延々と続くフード・トラックで小腹を満たしましょう。タコス、ジャーク・チキン、インド風アイスクリームなど、何を選んでも間違いなしです。

ニューヨークで最も人気の娯楽が戻ってきました。1年半にわたって灯りが消えていたブロードウェイのステージも、この秋は熱心な常連客を迎える準備ができています。需要の大きさを考えると、チケットを入手するのは困難かもしれません。計画は事前に立てましょう。今シーズンは、長年にわたって人気の「ハミルトン（Hamilton）」、「オペラ座の怪人（Phantom of the Opera）」、「ウィキッド（Wicked）」に加え、「ダイアナ（Diana the Musical）」や「シックス（Six）」といった素晴らしい新作も上演される予定です。

夏は「シェークスピア・イン・ザ・パーク」の野外上演、冬は雪降るワンダーランド。セントラル・パークは、年間を通していつでも是非訪れたい場所です。ですが、秋になると公園はとりわけ美しさを増し、341ヘクタールの敷地に広がる木々が、鮮やかなゴールド、サフラン、スカーレットに色づきます。限られた時間で広大な園内を回る最善の方法のひとつは、自転車を借りて、ベセスダの噴水、ヴェルヴェデーレ城、セントラル・パーク動物園、ストロベリー・フィールズ、ジャクリーン・ケネディ・オナシス貯水池、その他園内の見どころを回ることです。