かつて江戸と呼ばれた漁村だった東京は、1869年に日本の公式な首都の座を京都から引き継いで以来、世界で最も大規模な都市のひとつになりました。今日、東京都の人口は1,400万人近くに達し、首都圏には3,700万人以上が住んでいます。東京は期待通りの街です。高速列車、点滅するネオン、けたたましいカラオケルーム、混雑する道を猛スピードで行き交う群衆。その一方で、たくさんの驚きもあります。静かな池に響く鳥のさえずり、日本各地の食材を探求するカリフォルニア出身のシェフ、家に持ち帰る記念として寺の名前を手際よく筆でしたためる僧侶。東京は、何度となく訪れ、その度に違う姿を体験する街です。

伝統的な日本の回遊式庭園である小石川後楽園は、都心に佇むささやかな田園です。塀に囲まれたこの庭園の周囲には高層ビルが並び、隣には東京ドームがあります。しかし、園内に入れば濃淡をなす緑と青が広がり、庭に囲まれた中央の池は静謐な景色を映し出し、風景を拡張しています。一方の片隅ではハスの葉の上をトンボが音を立てて飛び、他方の片隅では寸分の隙なく手入れされた芝生から節くれだった木が立ち上がり、孤高の風格を漂わせます。春には繊細な桜の花びらが草の上に広がり、6月には紫陽花の鮮やかな青が道行く人を楽しませます。庭園の端にはお茶屋があり、蕎麦、天ぷら、和菓子、抹茶などの簡単なランチを提供しています。

仏教は、日本の主要な宗教のひとつとして1000年以上にわたる歴史を持っており、浅草にある浅草寺は東京最古の仏教寺院です。645年に建立された浅草寺には、毎年3,000万人以上が訪れます。雷門をくぐって境内に入り、仲見世通りを進みましょう。この通りは、本堂に至る伝統的な商店街です。狭い通りには、食べ物、装飾品、宗教的な道具を売る店がぎっしりと並び、おみやげ（御朱印帳など）を見つけるにはぴったりの場所です。焼きたての煎餅も、是非食べてみてください。

どこまでも続いているかのような東京の全貌をパノラマで見渡してみれば、自分が（今回は）この街でできることのほんの少ししか手を付けていないことがわかるでしょう。そのような景色を眺めるために、渋谷ほどふさわしい場所はありません。長く愛されてきたこのエリアは、渋谷スクランブル交差点、ハチ公像、J-popの動画を映し出す巨大スクリーン、無限に続くショップ、レストラン、バー、クラブ、カラオケルーム、そしてとめどなくあふれる人々の群れで知られています。かつての訪問者は、交差点の上にあるスターバックスの椅子に腰かけ、ベストショットを撮ろうとしていました。しかし、2019年にオープンした展望施設「渋谷スカイ」では、眼下の渋谷はもちろん、東京全体を360º のパノラマで眺めることができます。カフェでドリンクを買ってしばらく滞在し、景色を心ゆくまで楽しみましょう。

寿司店「細小魚（いさな）」の誠実なシェフ、大貫は、毎日豊洲市場で魚を選び、最も新鮮な旬の魚のみを購入します。その多くは、東京湾で獲れたものです。仕入れの後は、西麻布にある隠れ家のような店で江戸前寿司を握ります。コースはおまかせで、アジ、ウニ、赤貝などが出されます。酒ペアリングコースもあり、それぞれの握りに最も合う各地の日本酒が6杯つきます。

「ローカル（Locale）」は、目黒の脇道に佇む眺めの良いこぢんまりとしたレストランです。シェフのケイティ・コールは、農家から買い付けた日本の食材を使い、カリフォルニアスタイルの料理を作っています。有機野菜とその土地ならではのエネルギーを大切にしています。メニューには、福留ポークの桃とモロヘイヤ添え、クルマエビのポテトとワカメ添えなどがあります。デュカをかけたアボカドのタルティーヌ、自家製ビスケットに乗せたエッグス・コモドールなど、気の利いたひと工夫を添えた小皿は、ディナーにもブランチにも楽しめます。

虎ノ門に新たにオープンしたホテル「東京エディション虎ノ門」の「ブルー・ルーム（The Blue Room）」と「ロビー・バー（Lobby Bar）」は、朝食からカクテルまで、贅を尽くしたサービスを提供します。ブルー・ルームでは、和牛を使ったカツサンド、ハマチのタルタル、水菜サラダがランチにおすすめです。あるいは、鉢植えのシダや心地よいソファーがそこかしこに配置されたロビー・バーで、アフタヌーンティーのスコーンやセイボリーを楽しみながらゆったり過ごしてみてはいかがでしょう。夜は、31階からきらめく夜景を眺めながら、クラフトジン「六」や和梨のカクテル、あるいはウィスキー「響 21年」をオンザロックで味わってください。

相撲は、迫力満点。飛び散る汗を感じられるほどです（ただし、最前列の席を取れるほど幸運／裕福な人のみ。その場合はタオルを持参しましょう）。相撲は、スポーツと儀式の両面からなります。まっすぐ前を向いてシコを踏む力士の精神性は、短時間の格闘と同じように重要視されています。1月、5月、9月に両国国技館で行われる本場所のいずれかの時期に東京にいるなら、大相撲はわざわざでも出かける価値があります。国技館での力士たちの取組だけでなく、その界隈をそぞろ歩けば、力士を目撃することができるかもしれません。また、付近にはちゃんこ鍋（力士が食べる高カロリーの鍋料理）を出す店がたくさんあります。

東京の市場やデパートの食品フロアをインサイダーの目線で体験するなら、「Food Sake Tokyo」の著者である坂本ゆかりのマーケットツアーをチェックしてください。シェフ、焼酎ソムリエ、そして元デパ地下スタッフでもある坂本が、やはり修行を積んだシェフであり魚介類専門家である夫のシンジとともに、ツアーを案内してくれます。魚市場と青果市場を見学し、屋台でつまみ食いをし、食材や和食の調理法について学びます。坂本は、調理道具を選ぶ手伝いもしてくれるし、酒や醤油に関する詳しい知識も教えてくれます。

チームラボボーダーレスの照明がつくやいなや、10,000平方メートルの真っ白なスペースは、無数のコンピューターとプロジェクターによってすっかり様相が変わります。このデジタルアート・ミュージアムは、刻々と変化し、動き続ける光とアートのショーが売り物です。子どもも大人も同じように楽しめ、ある時は目まぐるしく、ある時は奇想天外、またある時は幻惑的な、驚くべき視覚の迷路は、誰もが探索に夢中になるでしょう。ここで午後中ずっと過ごしても飽きることはありません。たくさん自撮りしたくなること間違いなしなので、携帯電話やカメラの空き容量をしっかり確保してから行きましょう。